超急性期のCTでは出血の除外と早期虚血性変化(Early ischemic change:EIC)を描出することが求められる。
また単純CT(Non contrast CT:NCCT)を利用したAlberta Stroke Program Early CT Score(ASPECTS)の評価も重要である。
CT-Angiography(CTA)やCT-Perfusion(CTP)も重要であることは多数の報告から明らかである。
今回は臨床の箇所にフォーカスして、冊子を引用し概説する。
単純CT
出血の除外に関しては画像診断ガイドライン上では強い推奨である。
EICの中には皮質濃度低下を伴わない脳浮腫のみを示す所見であるisolated cortical swelling(ICS)と呼ばれるものもあり、ペナンブラに類似した性状を示すことから救済可能領域と考えられている。
この領域はADCの低下を伴わない。
直接所見としてhyperdence MCA signやdot signが挙げられ、塞栓子を反映した高吸収病変が見られる。
ASPECTSの評価はレンズ核と視床を通るAxと、
それより2cm頭側のレンズ核が見えなくなった最初の断面にて
中大脳動脈領域を10ヶ所に区分し、10点からの減点法で病変範囲を推定する手法である。
ASPECTS評価は1/3MCAルールより読影者間一致率が高い。
ASPECTS7点が1/3MCAルールの境界に相当し、8点以上が転機良好と関連している。
CTのEICがDWIで高信号とならないことがあり、reversed discrepancy(RD)と呼ばれている。
RDの要因として早期自然開通によって血管反応性浮腫が加わることによる細胞性浮腫の相殺、磁化率を有するミネラル沈着をきたした基底核などの領域における梗塞が生じた2つが挙げられている。
造影CT
MR CLEAN、ESCAPE、EXTEND-IA、SWIFT PRIMEでは前方循環の急性期脳梗塞において標準治療に血管内治療が有効であると示している。
その全ての試験でCTAが施行されていた。また後2者はCTPが施行された。
CTA
閉塞血管、標的血栓の特定と側副血行の評価が主である。
血管内治療の適応決定に有用である。閉塞の長さを評価することは重要であり、閉塞長は予後改善に影響する。
閉塞長の診断は4D-CTAやdelayed CECT(造影剤投与80秒後の撮像)を用いて評価される。
またmultiphase CTAはESCAPEにて側副血行の評価に使用されている。
multiphase CTAでの側副血行不良例とASPECTS≦5以下に関連が見られている。
CTAから得られる情報は多く、rt-PA投与に関する時間的損失はなく、むしろ血管内治療時間がNCCTのみよりも20分程度短くなり臨床転機もよいと報告されている。
CTP
虚血コアの範囲とペナンブラの評価に用いる。
まずCTPから得られるCTAの診断能は通常のCTAと差はないとされている。
CBF低下域は虚血コアとされ、灌流異常域との差がペナンブラとされる。
灌流異常域の指標は主にTmax>6sを用いることが多い。
rCBFは30%以下を用いる。
これらの情報から適切な患者選択を行うことが求められている。
虚血コアの解析に関してRAPIDシステムが用いられている。
情報処理時間や後処理などによる治療の遅れに関しては、解析と同時にrt-PA投与がおこなわれることで治療遅延はないとされている。
日獨医報.2017.62(2).20-28.
管理人の見解
RAPIDは日本ではまだ普及が遅れているため、ASPECTSとDWIが活用されている。
撮像内容に関する細かいことは別の投稿でおさらいしたい。
技師であれ、臨床的な影響を知ると撮影やその後の動きに違いが出るはずなのは間違いないだろう。
実際、後処理方法に関しても急速な勢いで進化しており、閉塞長の診断やペナンブラ評価がより確実になる手法が誕生しているため論文化が待ち遠しい。
ともあれまずは一つ一つのCTを丁寧に取った上での話なので、基本に立ち返るのも重要である。
また別の記事にて単純CTを丁寧にとる意義についてお話ししたい。
ではまた。