生物学と人類学
人の生物学的特性を比較によって考える
ヒトの生物学的特性は進化の産物である
この前提は正しいのか?
常に前提の是非を考えることが肝要である
かつては「進化」というのは石をぶつけられるようなことだった
また進化論と宗教はぶつかってきた
なぜ宗教とぶつかってきたか
まずは低俗なものへの嫌悪感
そして政治への利用
「アダムとイブ」→アダムが先に生まれた
(神の肋骨からアダムが生まれ、アダムの肋骨からイブができた)
→からくる「男性優位思想」
必ず社会の論争が背景にある
ここで思い出されるのは演繹法であり、科学にも通ずるということだ
演繹法:前提がただしければ予測が正しい
→常に前提を検証
ヒトの進化
イヌ:人の用途に合わせて人為選択が行われてきた
セントバーナードやダックスフントなど
これらは小進化と呼ばれる
:ゲノムの変化
:遺伝子頻度の変動
遺伝子学はこの小進化の分野である
遺伝子の伝えられ方
端々を折るが、
同じDNAを持ってるのに違うものになる ということが重要
(遺伝子発現→分化)
そして発生段階
同じDNAを持ってる精子はない
卵子も同じものはない
人間は精子・精細胞と未受精卵が受精して受精卵となる
そしてDNAの複製が行われていく(体細胞分裂)
遺伝子の基本的な目的は「それぞれの細胞の役目を行うこと」である
その中で遺伝子発現(遺伝子からタンパク質が作られること)が起きて分化していく
それらはDNAの塩基配列に従う
あるものは幹細胞となる
体細胞分裂:身体の成長や維持
減数分裂:次世代への遺伝子の伝達
生物は自分のDNAを含む染色体のほかに独立した小さなDNAを持っている。
その例が呼吸をする生物が持っているミトコンドリアと呼ばれる器官である。
ミトコンドリアなどの独自のDNAをもった細胞小器官をオルガネラDNAという。
ちなみにミトコンドリアは母系遺伝である。
すごいね女性。
遺伝子とゲノム
ゲノムとは:生物が正常な生命活動を営むために必要な、最小限の遺伝子群を含む染色体に存在する全DNA(遺伝情報)の1セット。
核とミトコンドリア両方に意味のあるゲノムがある
常染色体と性染色体というのは学校で習うだろう。
我々は遺伝子のセットを46種類もっている
1−22常染色体
XとYという性染色体
男性と女性の決まり方は決まっており、
女性はXX 男はXY
ここで疑問となるのがどちらがキーとなって性が決まるのかということだ。
Xを2本持ってると女性か?それともYをもってると男性?
これはターナー症候群(Xモノソミー、XO症候群)などが決めてとなる。
染色体数の異常であり 2本のX染色体のうち1本の一部または全体の欠失(つまりXが1本 Yがない)が起こると引き起こされる
この場合は必ず女性系として生まれてくる
このことからYのほうが性を決めているだろうと言われている。
もうひとつ性染色体異常を挙げるとすれば
クラインフェルター症候群がある。
男性性染色体異常であり母親から余分なXをもらってしまう(XXY)。しかし、この場合は男性で生まれる。
SRY:Sex-determining region Yとは哺乳類のY染色体上にあり、胚の性別を雄に決定する遺伝子。SRYが働くと母体の中で性が発達する。
余談だがバッタはXの数で性が決まる
つまり種によってここらへんの常識は異なるのだ。
人の生存に必要な遺伝子の配列がゲノムなわけだが
ゲノムを構成する塩基配列から類縁関係を調べることができるらしい
またこれも余談だが
蝙蝠の羽と蝶の羽は進化課程は違うが、機能が似た結果形が似た(収斂:シュウレン)
生物はすごい。
ネオ・ダーウィニズム
1)ダーウィンの進化論
変異 適応
自然選択 (淘汰)
遺伝形質と獲得形質
2)コストベネフィットと適応度
いかに多くの遺伝子を残すか
変異と自然選択
変異 集団中にはいろいろな個体(遺伝子)が存在する
白色のガの中に暗色のガが突然変異で発生すると
捕食されにくいことにより長い年月の後には暗色が多くなっていく。(自然選択)
人間の身長も同じである。
形質
舌をすぼめられるか否か
耳垢のドライとウェット
血液型 利き腕 はげ
目の色 肌の色 慎重 体重
肥満 高血圧 糖尿病
これらは形質が関係する
遺伝とは:形質が親から子へと伝えられることであり
遺伝子とは:親から子へと伝えられ、形質を決める(発現させる)物質である。DNA
適応度 変異はいかに多くの子孫(遺伝子)を残すか
例えばテニスによってうでが伸びるのは獲得形質といって後に残らない
遺伝形質と獲得形質は非なるものである。
その要因は環境とその変動にある
捕食と競争
遺伝子プール:互いに繁殖可能な個体からなる集団(個体群またはメンデル集団)が持つ遺伝子の総体のこと。
遺伝子頻度:遺伝子プールにおいて、ある対立遺伝子が含まれる割合を遺伝子頻度(いでんしひんど)という。
遺伝子頻度が動いていくのが小進化
ただし血液型のパターンは大体決まっている
4:3:2:1(この遺伝子頻度は世代が変わっても変化しない)
これをハーディ・ワインベルグの法則(HWB平衡)という
遺伝子頻度は世代が変わっても変化しない
ただし次の条件が成立する場合である
1、集団が十分に大きい
2、任意に交配が行われる
3、自然選択がかからない
4、突然変異が起こらない
5、移入・移出の影響が無視できる
→逆にこれらが成立しない時に遺伝子頻度は変化する場合がある(ただ、必ずしも変化するとは限らない)
なぜ集団の遺伝を考えるか?
集団(種個体群)を対象とした遺伝現象を考えると何が見えてくるか?
・遺伝子の集まりである遺伝子プールにおける遺伝子の頻度が捉えられる
・世代とともに遺伝子頻度が変化するか、維持されるか(変異が維持される?)
自然選択と性選択とは
選択の3タイプ(ウォーレス)
安定化:出産時の体重(低くても高くてもだめ)→常に平均を保つ
方向性:キリンの首の長さの進化 →端の個体を連続的に取り去る
分断化:同性間と雌雄間の競争 female choice
常に女性側が男性を選ぶ
進化に関する注意点
1、進化はおとぎばなしか?:いろいろな証拠がある
2、進化に目的はない:考えるために脳が発達?
偶然による変異→自然選択
3、進化は種の維持・発展のため?
種は選択の対象とは考えにくい
individual selection:selectionは個体にかかるので種の維持のためではない
集団免疫は維持発展のためにはならない:select outがかならず起こる
4、進化は進歩か?
進化の袋小路、環境変動と適応度
5、あと何万年で魚はカエルになるか?
共通の先祖が現存するとは限らない
進化の視点から生命科学の視点へ
進化の産物としてヒトの特徴をあげるとしたら何があるのか?
母指短縮、言語の獲得と思考の伝達、色覚、体温調節、二足歩行、卵生か胎性か、味覚
ノンバーバルコミュニケーション:表情、コミュニティの構築、脳が大きい
文化、毛が少ない、手書き、発情期がない
生物主観の共通性が進化を示唆する
1、陸棲の脊椎動物としての特徴
肺呼吸 四肢の発達(骨格系の変化)
乾燥への適応(皮膚・腎臓の発達、体内受精)
カエルは横隔膜がなく皮膚呼吸が8割
だから皮膚がぬれてないといけない
えびは脊椎がないので心臓や神経が前後構造逆転している
人間は2心房2心室であり
右室で肺に柔らかく血液をおくり
左室で強く全身に送る
だから左に鼓動を感じる
これができないのが脳である(第3の心室が必要で進化の途上である、ともいえる)
ちなみに神経節が分散している虫などは
頭がなくてもしばらく動く
2、哺乳類としての特徴
恒温性 乳腺の発達と保育
頬の発達
多型歯 胎生(子宮の発達)
3、ヒトに特異あるいは顕著な特徴
直立2足歩行 両眼視
手の発達、大脳の発達、文化
ということで人間はすごいって改めておもいました。
手の発達が脳を発達させたのか
脳の発達が手を使わせたのかは諸説あるようですが。
ただし、我々もまだまだ進化の途上にあるのではないかという可能性が残っているということです。
おしまい。