「眼窩疾患のMRI」磁気共鳴医学会 参加記1

MRI
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本内容は、2020年の磁気共鳴医学会にWeb参加して勉強したことの個人のメモを転記します。

 

教育講演11「眼窩疾患のMRI診断」

 

視神経炎・症(視力低下)

視神経炎、MS、NMOSD、MOGRD等鑑別する必要がある。

 

視神経炎MRI所見

STIR冠状断またはT2脂肪抑制で視神経は腫大、白質より高信号。

脂肪抑制造影T1強調 視神経の造影増強効果 血液神経関門の破綻による。

 

急性の視神経炎 94%感度(造影剤3倍投与時)

増強効果の長さは重症度と関連(回復程度の予測にはならない)

視神経左右差、MSなどの眼後視神経炎では乳頭部に信号変化(−)

 

脱髄性視神経炎 多発性硬化症

特徴

視力低下(7日〜10日)
眼球運動時痛 90%
色覚障害多い(視野欠損も報告散見)
視力回復は30日以内

MRI所見

脂肪抑制T2(IDEAL) or STIR、造影3Dの再構成でも評価可能だが、GREであり血管高信号に注意。

3DFSE系でもよい。

DWI(non EPI 高信号*参考程度)、T2Ax・造影T1脂肪抑制(病変範囲、長さを評価可能)

 

経過

視神経萎縮、脳脊髄液腔の拡大、内部に小さな高信号。

 

抗アクアポリン4抗体が原因となる視神経脊髄炎

特徴

病変長が長い(眼窩3区域に及ぶことがある)。
両側。
著名な視力低下と眼痛(50%)


抗AQP4抗体陰性または未測定の際のMRI所見(NMOSD診断における2015 IPND criteria)

視神経炎(視神経病変や視交叉病変)
急性脊髄炎(3椎体以上に及ぶ脊髄病変あるいは脊髄萎縮)などが挙げられる。

 

経過

視神経萎縮の進行著明、長い範囲での萎縮、脳脊髄腔は同定、異常造影増強効果消失。

 

ミエリンオリゴデンドロサイト(MOG)糖蛋白

特徴

抗MOG抗体は中枢神経に炎症性脱髄病変を生じさせる自己抗体で、視神経炎、脳炎、脊髄炎などの原因となる。
男性に多い。
単相性(慢性進行性ではない)。
視神経炎>脊髄炎
脳病変は少ない
脊髄病変はAQP4NMOに比べ少ない。
小児:ADEM症状
成人:視神経炎高頻度
両側で乳頭〜眼球後部に後発。

MRI所見

T2高信号の程度:MOG(軽〜中)、AQP4(中〜高)、MS(無〜軽度)

Gd造影増強効果:MOG(中〜高)、AQP4(高)、MS(様々)

両側(MOG、AQP4)、乳頭腫大(MOG)、両側視索・視交叉病変(AQP4)

 

虚血性視神経炎

特徴

動脈炎性と非動脈炎性に分かれる。

 

MRI所見

DWI-High, ADC-Low。

 

巨細胞性動脈炎

MRI所見

Gd造影増強効果(視神経実質、視神経鞘、視交叉、非特異的な眼窩増強効果)
高分解能撮像で眼動脈壁の増強効果明瞭

 

視神経周囲炎

特徴

視神経鞘を標的にした炎症性の病態。
両眼>片眼。
視力低下
視野障害
霧視
乳頭浮腫
眼痛
強膜炎

MRI所見
眼窩内部おける”tram-track”サイン(脂肪抑制T2)

視神経は保持。

脂肪抑制Gd造影T1にて視神経鞘の造影増強効果。

 

鑑別

特発性頭蓋内圧亢進症(視神経の延長と蛇行、くも膜下腔の拡大、眼球後極の平坦化)

癌性髄膜炎

感染性髄膜炎

 

感染性視神経炎

ねこひっかき病 
視神経球部接合部の視神経炎
血行性に肉芽腫

 

強膜炎

MRI所見

眼瞼結膜の肥厚 

増強効果
強膜およびテノン嚢の増強効果

眼球前後径増大

 

IgG4関連疾患(眼球突出)

Mikulicz disease(腫瘤形成。T2で両側涙腺腫大と低信号。造影増強効果。眼窩下神経の棍棒状腫大)

炎症性偽腫瘍(眼窩内の多数の偽腫瘍、神経腫大)

筋円錐外病変(外眼筋に接する全周性軟部組織腫瘤 著明なT2短縮)