MRIによる人工内耳インプラントへの影響

この記事は約2分で読めます。

MRI検査における人工内耳インプラント磁石の減磁に影響する因子

Factors for Degaussing of a Cochlear Implant Magnet in the MR Scanner

条件付き人工内耳がMRIの中でどのように劣化するのかを検証した報告である

 

人工内耳には被検者の体位制限があるが、その目的は内蔵されたインプラント磁石の減磁抑制が目的である。

主に本文中では2つのことを述べている(1.5T対象)

・静磁場の磁束密度ベクトルに対するインプラント磁石の磁化の向きと減磁の関係

・静磁場の空間的勾配の強い領域中を磁石が移動することによる減磁の影響

 

比較対象
・インプラント磁石の角度
・静磁場内の移動速度
・静磁場の空間的勾配の違い
・磁場の暴露時間

 

角度影響
MRIの磁束密度に対して60°までは減磁は見られないが70-140°では減磁が増加する

移動回数
90°付近の角度では4回程度までは減磁の程度が増加する。以降減磁の程度はプラトー化する。

移動回数による減磁よりも磁化の角度による減磁の影響の方がより大きく認められた。

 

移動速度
角度が80°の場合には寝台の高速移動による減磁は寝台の低速移動の脱磁に比べてp<0.05で有意に高い値となった。

空間的勾配の影響
有意差は認められなかった。

暴露時間の影響
有意差は認められなかった。

 

磁石のNSが静磁場と一致する(0°)時は、すでに磁化しているので着磁しないが、NSと逆(180°:SNとなる)の時は、減磁した後、着磁する。

 

結論

・頭部検査以外での患者体位に気をつける必要がある
・自施設のMR極性を知る
・被検者のインプラントの極性の確認
・ガントリー内への最小限の移動回数
・低速によるガントリー内への進入
・ガントリー開口部に対して顔を横向きにしない


日放技学誌.2017.73(12).1216-1223.

 

マニュアル作成が必要だと思う。

専門でない技師はなかなか把握が大変なのではないかと思われるためMR装置への直接的な掲示も効果的と思われる。