DRLsを読み解く-血管撮影-

Angio
この記事は約3分で読めます。
DRLs2015の血管撮影・IVR分野における効果検証および追加項目の検討

Examination of Effectiveness Verification and Additional Items in Angiography and IVR of DRLs2015

DRL(診断参考レベル)は確率的影響の合理的な低減のために有効であるとされている。

もともとICRP Publication73で定義され、Publication105135で有用性や具体的な設定方法が示されている。

日本においてはJ-RIME(医療被ばく研究情報ネットワーク)がDRLs2015を公表しているが、十分な検証が必要である。

本報告はDRLs2015にあたる血管撮影に関して検討したものである。

全国国立大学放射線技師会による調査結果より

PCIおよび腹部IVRでの装置透視線量率の分布から、低い線量率であった群と高い線量率であった群で

それぞれ実臨床における検査終了時の装置表示線量の分布が異なっていた。

どちらの検査においても全国的に低い線量率の装置の場合は、施設内での検査における線量表示分布は低い分布を示し、高い線量率の装置の場合は、施設内での検査における線量表示分布は高い分布にシフトしていた。

→PCI、腹部IVRの臨床現場においてはDRLsのような他施設線量分布を利用して線量の適正化を測ることは有効

日本血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師認定機構による統一的線量率測定データ

2008→2013→2018年(全て平均値)

16.1mGy/min → 12.6mGy/min → 11.7mGy/min

となっている。

これらから多施設の線量率データ公表には線量の最適化に有効だったといえるが

近年においては低減の割合が小さく、最適化が進んでいる現状とは思えるが

いずれ透視線量率のみで最適化を継続するプロセスは限界が訪れるだろうと示唆している。

現在のDRLsは撮影条件(mGy/F)が考慮されていない

実際は臨床時の症例、治療の難易度、術者の技量、患者の体型などに大きく左右される。

よって患者への総入射線量を基準とすることが求められる。

(現在JRSJSNETで共同調査中)

次回のDRL改定時には臨床時の手技別装置表示線量を指標に加えることが必要

日放技学誌.2020.76(2).210-217

管理人の見解

ぜひ報告をまちたい。

臨床が介入したさいのJSRTの動きは途端に重くなるため、参考資料があるのとないのとでは雲泥の差である。

本来であれば頭部と体幹は別で語られ、それぞれに基準が作られてしかるべきだと思われるが

まずは組織反応の予防を中心にこのまま解析・最適化が進むことを期待したい。

しかし頭部IVRのデバイスの発達とともに、脱毛は頭部の分野で確実に増えていくと思われるため、JSNETにはそこらへんの調査も期待したい。

ただ全体の平均線量が下がることはよいが、DRLsの線量分布の傾斜がなだらかになること(ばらつきが低下する)自体を良い変化と捉えてもよいのではないだろうか。過小線量も過剰線量とおなじくらい問題だとはおもうのだが。

ではまた。