当院救急外来におけるSpinal cord injury without radiographic evidence of trauma ( SCIWORET )の検討
A study of emergency visits to our hospital for Spinal cord injury without radiographic evidence of trauma ( SCIWORET )
日臨救医誌(JJSEM).2014.17.32-37.
脊椎損傷は全外傷症例の約6%に見られ、脊髄または神経根レベルに何らかの損傷を伴うものはその半数である。
頸髄損傷は脊髄損傷の約75%を占める。
脊髄損傷のうち骨折や脱臼を認めないものについてはSpinal cord injury without radiographic abnormality(SCIWORA)として報告され小児に特徴的とされた
→最近ではSCIWORETと呼ばれる(非骨症性頸髄損傷)
→高齢者でも退行変性や脊柱管狭窄を基盤に過進展で生じる
→MRIの進化によりSCIWORAの定義が曖昧化
65歳以上では有意に受傷機転が立位からの転倒、階段数段程度の転落が多い
臨床所見にてC3/4の損傷が最多であった
脊柱管狭窄を認める場合にはRetro pharyngeal spaceの拡大がなくてもSCIWORETの発症が多いため神経学的評価が重要
管理人の思うこと
:しかしSCIWORETの定義は論文により「MRIの信号変化を認めるもの」を含むかどうかで大きく変わる
:含む場合は3.3-32.6%である
:含まない場合(神経学的所見重視)は14.7-81.7%
:対象年齢層が論文により大きく異なる点も注意が必要である(SCIWORET自体 Age>8, 60<Ageに多いとされる)
発症機転
頸椎過進展→椎体骨棘とたるんだ黄色靭帯により挟撃
MRI所見
急性期:T2WIにて低信号領域とその周囲の高信号領域で表される(損傷部の出血と浮腫・点状出血)
髄内信号変化が予後判定に有用 3群に分類
信号変化なし
高信号(浮腫性変化による高信号に出血の低信号がマスクされてる可能性もあり、麻痺改善の程度に差がある)
低信号(他より神経学的予後不良例が多い)(deoxyhemoglobin:著しい挫滅)
管理人の思うこと
:全体的に、dixonを使って計算画像のT2inphaseを出した方が出血が混在する中でアーチファクトが減ってよさそう。
:高信号の中で出血がマスクされ〜・・・→3DTSEが有用か?