頭蓋内動脈狭窄症に対する血管内治療の現状:全国調査の結果より
Current Status of Endovascular Therapy for Intracranial Artery Stenosis from the Results of a Nationwide Survey
背景
WASID試験:70%以上の高度狭窄病変において1年間で23%もの脳梗塞の再発が報告されている
SAMMPRIS試験やVISSIT試験では血管内治療の有用性が証明されなかった
しかし、安全性に関する報告も増えてきてはいる。
現在日本において頭蓋内動脈狭窄症の治療戦略は明らかではないため、実態を把握した報告である。
アンケートが主体であるが回答は25.8%にとどまり少ない印象である。
結果
頭蓋内動脈狭窄症に対しては行われた症例のうち
症候性病変は約90%
そのうちステント留置は約40%
再開通後に診断される頭蓋内動脈狭窄症は、すでに頭蓋内動脈狭窄症に対する血管内治療の30%を占める
PTAおよび不十分な場合にステント留置を選択する回答が3分の2を占めている
PTAで解離を来した場合も8割以上がステント留置を考慮
→その場合Enterprize2次いでバルーン拡張型ステント、Neuroformの順である
内科治療抵抗性の頭蓋内動脈高度狭窄例に対する治療
症候性 | 脳循環不全がある | 血管内 68% | 9割外科的介入 |
バイパス 26% | |||
脳循環不全がない | PTA/Stent 47% | 約半数 | |
バイパス 5.4% | |||
無症候性 | 脳循環不全がある | PTA/Stent 17.3% | 約3分の1 |
バイパス 16.6% | |||
脳循環不全がない | 内科治療が大半 | ||
脳循環不全の有無が大きく影響していると言える
LDLコレステロール目標値
SAMMPRISでは70mg/dl以下
アンケート内では100mg/dl以下
頭蓋内動脈狭窄症でも厳格な降圧が有効なのか今後の研究結果が待たれる
頭蓋内のプラーク診断は21.7%で行なっていた。
(なお、アンケートは内科治療抵抗性ではない症候性症例に対しては調査できていない)
Journal of Neuroendovascular Therapy 2019; 13: 487–493
プラークイメージがそれほど行われていないのは驚きであった
しかし、狭窄に対しては循環を観察するのが重要であると言える
フォローアップに対してもPerfusion系の画像を取得するべきかもしれない