文献検索に関する基本のおさらいをします。
*注意*
同じ論文を複数回複写・ダウンロードすることは違法です。
画面上に論文を表示させただけで1回ダウンロードとカウントされる仕組みをとるサイトもあるので、何回もリンクをクリックしただけでアウトです。
一度開いた論文は、印刷するか、PDFファイルとして自身のPCに保存するか、どちらかにしましょう。
情報の種類と特性
図書は何度も校正をしているので、文献としての信頼性は高い。
雑誌は定期的に発刊されているので速報性はある。
インターネットは速報性が最も高いが誰でも信頼性にかかわらず発信できてしまうためその情報の取り扱いにはかなり注意を要する。
文献の種類
総説:特定の分野やテーマについて総括的に論評した記事
原著論文:特定の分野やテーマについて、最新の研究成果を発表したもの
会議録:学会、研究会などで発表される抄録及び要旨のこと。
文献検索のデータベース
目的の文献がどの雑誌、どこ(巻号・ページ)に載っているか調べるツール
【医学中央雑誌】
日本語の文献を探す際に最も活用
1903年に一開業医である尼子四郎が創刊した国内医学文献抄録誌で、日本の医学、歯学、薬学、看護学、獣医学分野の文献情報を収録
1903年-1963年の文献:医学中央雑誌(冊子体、全国の大学病院などにある)
1964年以降の文献:医中誌Web
【PubMed】
欧文の文献を探す際に最も活用
米国国立学図書館(NLM)が提供する無料のデータベース
Index Medicus: 1879年米国国立医学図書館が創刊した医学索引誌
1916-1945年の文献:Index Medicus(冊子体)
他はデータベース化しPubMedに(世界中からアクセス可能)
他には
Cochrane Library: Cochrane共同計画によるEBM支援データベース
Up to Date:エビデンスに基づいた最新医療情報による電子臨床教科書(日本語検索可)
Web of science:学術雑誌論文の引用関係や影響度を分析できるデータベース
SciFinder-n:化学、生化学、生物学、薬理学、医学ほか関連分野を含む生命科学についての文献、特許、物質情報データベース
J-stage:日本放射線技術学会雑誌ならこちら。会員じゃなくても論文ならopen access.
Google Scholar:Google翻訳を組み合わせると探しやすい。
メディカルオンライン:一部有料。雑誌記事へのリンクを多数収容。
検索の基本
基本1:統制語
統制語(シソーラス語:医中誌 / MeSH:PubMed)が重要
どの語句で調べたら良いのかと悩んだことはないでしょうか。
実際は一つの言葉を検索するにも表現は多様であり振れ幅がある。
統制語はいろいろな表現のある用語をできるだけ統一して、検索しやすくまとめた用語(集)
検索漏れやノイズを減らすことができ
この語句の割り当てを自動マッピングという
上位語:概念を広くした語(検索HIT数が少なすぎる場合)
会後:概念を狭くした語(検索HIT数が多い場合)
例:ボケてきた を調べる
バリエーション;痴呆、ボケ、Amentia、Dementia
→統制語:認知症
基本2:検索式を立てる
やみくもに語句検索をしないで論理演算を立てます
A AND B(AとBを含む)
A OR B(AまたはBを含む)
A NOT B(AのうちBを含むものを除く)
です。
例:帯状疱疹の顔面痛について を調べたい
帯状疱疹 AND 顔面痛
例2:顔面痛や歯痛についての文献 を調べたい
顔面痛 OR 歯痛
基本3:絞り込み(Filters)
検索した結果をみてから、必要に応じて絞り込み条件を指定する
- 文献の種類
- 分類
- 雑誌の発行年
など
この絞り込みは
統制語の検索→論理演算を済ませてからでないと見逃しの増加や効率の悪さにつながってしまう。
実際の検索:医中誌の場合
脳梗塞と糖尿病について書かれた過去5年分の文献を探す。
下に検索式がでる
「脳梗塞/TH」←この(TH)という表記がついている場合は 統制語として検索されているということ
「脳梗塞/AL」 (AL)とついている場合は、文献の中に「脳梗塞」という単語が入ってるものを検索したということ(脳梗塞がテーマじゃないにもかかわらず。例:違うテーマで書かれているにもかかわらず、著者が脳梗塞学会に所属する学会員だと記載があるだけで検索されてしまう)
次に糖尿病を検索する
すると下に先ほど検索した「脳梗塞」と並んで「糖尿病」がでる。
そうしたらチェックボックスをチェックする。
両方にチェックを入れて横のドロップダウンリストを使用しANDを使う
履歴検索ボタンを押す
ちなみに「検索式を編集」で検索式の中身を見れる
結果はこうなる
1と2を足した結果が新たに並ぶ
さらにこのキャプチャ画面内に見える「更に絞り込む」を押すと過去5年分に絞り込む項目があるのでそれを押す
すると最終行に今までの演算が足し合わされた検索式が出来上がる((#3)and(DT=2015:2020)
それぞれ論文には、医中誌ID、論題、シソーラス用語、Abstractが見れるようになっているので、それらからどんな論文かをざっくりと読み取る
またソートをかけて新しい順や、収載誌順にすることもできるので適宜調整して検索すると良い。
論文の入手方法だが
(図を掲載しないが)下にアイコンがいくつか並ぶと思われるのでそれをクリックする
その後「フルテキストへのリンクはありません」と表示されるようなものは電子ジャーナルがないということである → イコール所蔵しかない
そうなったら所蔵検索するしかない。あとは所蔵がある機関の検索システムによるだろうが、基本的には調べたい所蔵の巻・号を調べ、所蔵先にどの巻号の所蔵があるかをチェックし、合致したら施設内における所蔵場所や請求方法を問合せ閲覧する、という流れである。
または「複写依頼」をというのもすることができるので、それで取り寄せることになる
実際の検索:PubMedの場合
PubMed
「stroke 」と「糖尿病」の関係について調べたいとします。
まずはPubmedに入ります。
次にadvancedを押しましょう。
こんな画面がでます。上段にStrokeと打ちます。
ADDを押しましょう。
そうすると打った文字が下にうつります
searchの横の矢印を押すとAdd to historyがでてきます
これを押すと文字が下にうつります。
ここでヒットした論文数がでてきます。
次に糖尿病の英語名を上段に打ち込みます。
同じように下まで持ってきます。
そしたら「・・・」のところを押します。選択肢がでるのでAdd queryを押します。
すると上に文字が移ります
もう一つを選択すると、今度は選択肢が代わります。
記事の最初の方でも述べた論理式が構成できるので、
今回は「Strokeとdiabetes mellitus」について書かれた文献を探すのでANDを選択します。ということでAdd with ANDを押します。
文章が論理式に変わります。
これをまたAdd to History
下に論理式が加わりました。
ちなみに青い数字が条件に合って検索された論文数でクリックすると検索結果一覧に飛びます。
details を見てMESH termsがあれば統制後としてテーマにした論文を検索することができる
実際に検索後の青い数字をクリックヒットした文献がでる
横項目で様々に検索内容を絞ることができます。
一番上の図も丸を掴んでスライドするだけで年数を絞れます。
大まかに内容を把握したい場合は
PUBLICATION DATEで5YEARS
ARTICLE TYPE:REVIEW
とすれば無難です。
ADDITIONAL FILTERというものがあります。
様々に細かく検索内容を絞ることができます。
有用なのはLANGUAGEでの、ENGLISH JAPANESE絞りや
JOURNAL名などがいいでしょう。
シソーラスの検索
シソーラスブラウザというものがあります。
左上から3つめです。
これは調べたい言葉が、一般的かどうかわからないので調べようがない、だれか適切な言葉を教えて!という時に使います。
たとえば恥ずかしい時によくあがってしまうことを「あがり性」といいますが
そのほかにも言葉があるかもしれません。
実際調べると
・遂行不安
という言葉がでます。
ここで調べることによりMesh用語・上位語・下位語もみれます。
PubMEdの場合
右下に「MeSHDatabese」とあります。
試しにクリックして入り、Storkeと打ちます。
検索すると、一番上段にStrokeとでてきます。これをクリック。
すると、統制語としてどんな情報をもっているのかつらつらと書かれています。
下にいくと同義語もあります。
大体どのワードも階層がいくつかあります。
分野の差があるものもあります。
この場合はNervous System Diseases と Cardiovascular Diseasesに分かれています。
全てリンクになっているので上位のMeSHで検索をかけるのも容易です。
実際PubMedとかは初めての時はとまどいますよね。
みなさん参考にしてみてください。
おしまい。